出生前検査と出生前診断

出生前検査と出生前診断の違い

テレビや雑誌などで、「出生前検査」や「出生前診断」という言葉を目にする機会が多くなってきました。一見、同じと思われがちな単語ではありますが、それぞれの言葉の意味は少し違います。
また、妊婦健診で「順調です」と言われていたから出生前検査を受けなかったという声をよく聞きます。しかし実際には、妊婦健診はあくまでも妊婦さん自身の健診です。あなたが知りたいと思っている赤ちゃんの健康状態は、妊婦健診ではわかりません。

出生前検査

「おなかの赤ちゃんの健康状態」を調べる検査

出生前診断

おなかの赤ちゃんの健康状態を調べる検査(=出生前検査)のなかで、病気の診断をつけるもので、具体的な検査としては、出生前検査には胎児ドック、NIPT、クアトロ検査など、出生前診断には羊水検査絨毛検査があげられます。

たとえば、妊婦さんが妊婦健診で行うエコー検査(エコー検査ともいいます)は、おなかの赤ちゃんの発育をみるという点においては出生前検査のひとつといえます。ただし、妊婦健診のエコー検査で確認することは、心拍の有無や大きさなどに限られており、「病気があるか」という視点で全身をくまなく見る検査ではありません。

出生前検査・出生前診断の目的

カップルによって受ける理由はさまざまだと思いますが、共通する目的は「おなかの赤ちゃんのことを知るため」です。
順調に育っていることがわかれば、安心に繋がります。病気や障がいがわかった時には、その後どうするかを家族で考える機会に繋がります。
生まれつきの病気というと、ダウン症候群を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、実は「心臓病」が一番多く、頻度は100人に1人程度です。心臓病があると生まれた直後に具合が悪くなる心配がありますが、事前にわかっていれば、準備をして安全に赤ちゃんを迎え入れることができます。

出生前検査に期待すること4つ

  1. 安心するため
  2. 安全に迎えるため
  3. 胎児のうちに治療をするため
  4. 病気や障がいがあった時に迎え方を家族で話し合う機会を得るため

妊婦健診で順調と言われていたために、胎児ドックを受けず、生まれてから赤ちゃんの病気を知るという方がまだ多いのが日本の現状です。胎児クリニックに来られる方の中には、以前の出産のときに病気を事前に診断されず、出生後に辛い経験をしたという方もいらっしゃいます。母子ともに、そのような辛い思いを1度もしないためにも、初めての妊娠の時から出生前検査についてよく考えましょう。

出生前検査の種類

出生前検査の種類は、大きく①赤ちゃんに起きていること(赤ちゃんの形や動き)を調べる検査と、②その原因を調べる検査、があります。

赤ちゃんに起きていることを調べる検査 = エコー検査

例)胎児ドック・胎児スクリーニング検査・胎児超音波検査 

赤ちゃんのからだや内臓、脳や骨などに形の異常があることを「形態異常」と呼びます。形態異常は、エコー検査で知ることができます。エコー検査では、形をみる以外にも、不整脈がないかを調べたり、羊水量を調べたりすることで赤ちゃんの健康状態を知ることができます。
このような赤ちゃんの状態を詳しく見るエコー検査は「胎児エコー検査」とも呼ばれ、妊婦健診で行うエコー検査とは異なります。

赤ちゃんに起きていることの原因を調べる検査 = 染色体・遺伝子異常を調べる検査

例)NIPT(新型出生前検査)・コンバインド検査・クアトロテスト・絨毛検査・羊水検査

エコー検査でなにか気になる所見があった場合や、エコー検査だけでは気付けないような、染色体・遺伝子の異常が心配な方は、エコー検査に加えて血液検査や絨毛検査・羊水検査などをすることもできます。
また、胎児エコー検査を受けられる施設はまだ全国にも数えるほどなので、お住まいの地域によっては、胎児エコー検査を受けずに、染色体・遺伝子異常を調べる検査を提示されるかもしれません。
染色体・遺伝子異常を見つける検査には、 確定検査と非確定検査があります。検査によって、調べられる病気の種類や、検査の正確性、安全性が異なります。

どの検査を受けるかは「どの程度、症候群 を確定あるいは否定したいか 」「検査に伴う流産のリスクをどう考えるか 」「どの症候群について調べたいか」「いつ知りたいか」「知りすぎることの危険性 」などを考えながら決める必要があるため、赤ちゃんの様子をエコーで見ながら、医師や遺伝カウンセラーに相談していくことが大切です。

  • 確定検査:絨毛検査羊水検査、臍帯血検査
  • 非確定検査:コンバインド検査、クアトロテスト®︎、NIPT(新型出生前検査)

出生前検査・出生前診断をご希望の方へ

希望する妊婦さんは誰もが受けることができます。 年齢や赤ちゃんの心配事の有無に関わらず受けることができます(さらに当院では紹介状も不要です)
いままで日本では、妊婦さんからおなかの赤ちゃんの病気や出生前検査について聞かれたときにのみ情報提供を行っていました。2022年からはこれが一変し、出生前検査についての情報提供を、すべての妊婦さんに行う方針に変わりました。
方針が変わった理由として、そもそも生まれる前に何がわかるのか、どうやってわかるのか、情報提供が不可欠であるという考えによるものです。ですが、妊婦さんに情報提供があったからといって、必ず受けなくてはならない、というわけではありません。出生前検査についての正しい情報を知ったうえで、希望する場合に受けることができます。
時々、高齢を理由に検査を考える方がおりますが、生まれつきの病気や症候群の多くは年齢と無関係です。高齢妊娠/高齢出産であっても、若い妊婦さんであっても、自由に検査を受けることができます。

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