絨毛検査と羊水検査について
絨毛検査と羊水検査は、どちらも赤ちゃんの染色体や遺伝子を調べる検査です。“いつ” “なにを使って”、染色体や遺伝子を調べるかには違いがありますが、方法はほとんど同じです。
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絨毛検査 | 羊水検査 | |
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調べること | 絨毛 (胎盤になるところ) |
羊水 (赤ちゃんの尿) |
検査実施時期 | 妊娠11~14週頃 (当院は~妊娠14週6日) |
妊娠16週以降 |
流産リスク | 0.3% | |
麻酔 | 実施 | 不要 |
針の細さ | 麻酔用:25G 穿刺用:18G |
25G |
結果返却までの日数 | 2~3週間 ※解析内容により異なります |
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費用 | 10~20万 ※解析内容により異なります ※絨毛・羊水検査で異なる施設もあります |
絨毛検査とは
絨毛検査は、赤ちゃんの染色体や遺伝子についてわかる確定検査のひとつです。
妊娠週数の早い段階で赤ちゃんの染色体・遺伝子の情報を知りたい時には、羊水検査よりも早くに行えるというメリットがあります。
当院は、初診時でも必要があればその日に実施ができます。一般的な産婦人科では、確定検査の行える曜日が決まっているところが多いですが、当院はどの診察日でも実施可能です。 また、エコーで赤ちゃんに気になる所見を認めた場合には、その日に絨毛検査を行うこともできます。羊水検査という選択肢もあるため、確定検査をするか迷っている時に急いでする必要はありませんが、赤ちゃんの情報が知りたいと思う時にできる検査の選択肢があるのとないのでは大きく違います。
絨毛検査を行える施設は多くはないため、ご質問があればお気軽にご相談ください。
どちらの検査がいいの?
絨毛検査と羊水検査のどちらが適切であるかは、妊娠週数と検査を考える理由によって判断します。
妊娠週数
まずは、妊娠週数を確認します。絨毛検査が行える週数を超えている場合には、妊娠16週以降の羊水検査を考えます。
妊娠15週台の場合は、妊娠16週まで待ってから羊水検査を実施します。妊娠16週前の羊水検査は流産リスクが2%に増大することや赤ちゃんに内反足が生じる可能性が高くなることから、当院では実施していません。
検査を考える理由
- 妊婦健診や胎児ドック(胎児スクリーニング)で赤ちゃんに気になる所見を認めた
- 染色体の数の異常(転座も含む構造異常)、遺伝子異常の家族歴がある*
→絨毛検査も選択肢に挙がります
*適応外の場合もありますので、事前にご相談ください - 年齢が気になる
- NIPT(非侵襲的出生前遺伝学的検査)で陽性の結果であった
- 特段理由はないが、精度の高い出生前検査を受けたい
- 染色体の数の異常(ダウン症候群など数的異常)の家族歴がある 等
→まずは、胎児ドックを行います
胎児ドックで赤ちゃんに気になる所見を認めない場合には、羊水検査が望ましいでしょう。
赤ちゃんに気になる所見がないとき、羊水検査のほうがいいのはどうして?
絨毛検査では胎盤、羊水検査では赤ちゃんの染色体・遺伝情報を調べます。基本的には胎盤と赤ちゃんは同じ染色体情報を持ちますが、時々、胎盤だけに染色体異常があり、赤ちゃんは正常な染色体情報を持つことがあります。
赤ちゃんに気になる所見があるときには、“胎盤に染色体異常があれば、赤ちゃんにも染色体異常がある”と考えるため、胎盤を調べることも意味があります。
反対に、赤ちゃんに気になる所見がないときには、“胎盤に染色体異常があっても、赤ちゃんは正常な染色体情報を持っている可能性がある”ため、胎盤ではなく赤ちゃんの情報がわかる羊水検査が望ましいとされています。
それなら、羊水検査でもいい?
羊水検査より絨毛検査の精度がよいということはありませんので、どのような場合でも羊水検査は可能です。
絨毛検査には、早い週数で結果がわかるというメリットがあります。絨毛検査で異常がなければ、安心して過ごせる時間がふえるでしょう。また、染色体・遺伝子の異常を認めたときには、赤ちゃんの今後の見通しをたてたり、今後の選択肢をご夫婦間でお話しするなどの時間をより長く設けることができるでしょう。
絨毛検査と羊水検査のどちらがよいかは、その時の状況やいつ結果を知りたいかによっても変わりますので、お気軽にご相談ください。