ダウン症候群/18トリソミー/13トリソミーの可能性を知りたい方へ

胎児ドック

当院の胎児ドックでは、心奇形などの形態異常に加えて、形態でわかる「トリソミーらしさ」も評価しています。
妊娠12週〜13週6日(胎児の頭〜お尻までの大きさ:84mm以下)の場合で、ご希望があれば、ダウン症候群(21トリソミー)・18トリソミー・13トリソミーそれぞれついて、可能性を確率(分数)でお伝えすることができます。結果は当日返却いたします。

トリソミーの原因である染色体量を調べるNIPT(通称、新型出生前検査)や絨毛・羊水検査と異なり、エコーを用いて胎児を観察することで、トリソミーに関連する所見の有無を調べます。トリソミーに関連する所見としてはNT(首の浮腫)が有名ですが、その他にも鼻骨・静脈管・心臓の弁・臍帯ヘルニア・横隔膜ヘルニア・膀胱拡大・単一臍帯動脈・指の本数などを確認します。これらの特徴は、妊娠初期に認めやすいため、13週6日までに胎児ドックで形態的なトリソミーらしさを評価することで、トリソミーのある胎児の約80%*に気付けるとされます。
妊娠14週以降は、トリソミーがあっても徐々に特徴が消えていくため、胎児ドックでの可能性計算ができません。妊娠14週以降でも、胎児ドックで所見を認めることもありますのでエコー検査は有用です。エコーで異常を認めなかった場合には、クアトロ検査やNIPT検査に関するご相談も可能ですので、まずはご連絡ください。

胎児ドック

コンバインドテストPLUS
(実施時期:妊娠12週〜13週5日)

コンバインドテストPLUSは、エコー検査での形態評価の情報に、妊婦さんの採血から胎盤ホルモン(PAPP-A、free β hCG)の評価を加えます。
胎盤ホルモンの値を加えることで、約97%*のトリソミーのある胎児に気づくことができるようになりますので、形態的な特徴のない場合にもトリソミーに気づくことが増えます。
通常コンバインドテストは、結果返却までに1週間ほど要します。当院では、胎盤ホルモンを解析する機器(DELFIA® Xpress)を院内に設置しているため、採血から1時間で結果を返却しています。
*FMFで検査を行う場合の検出率です。エコー検査の評価項目によって、検出率は異なり、例えば、NTのみを評価する場合には、検出率は低くなります。

胎児ドック及びコンバインドテストPLUSでのトリソミーの可能性計算をご希望される場合の受診時期に関する注意点

コンバインドテストPLUSは、妊娠11週0日から14週0日まで実施可能ですが、予定日から計算する妊娠週数と胎児の大きさが必ずしも一致しないこと、11週台は心臓病などの形態評価がかなり限定的になることから、予約時期については以下のようにご説明しています。

  1. 体外受精・顕微授精でのご妊娠の方
    妊娠12週〜妊娠13週6日までに受診ください。妊娠14週以降は、可能性の算出が行えません。
  2. 自然妊娠など、1以外でのご妊娠の方
    胎児の頭〜お尻までの大きさが84mm以下である必要があります。胎児の大きさが週数相当であれば妊娠13週6日でも可能性の算出を行えますが、余裕を持って妊娠13週前半までのご予約をお勧めします。

なお、12週0日以前の検査をご希望の方は、形態評価が限定的になることをご理解の上コンバインドテストPLUSをお受けいただくか、妊娠10週前後から実施可能なNIPTもご検討いただけます。
※NIPTについてのご相談には対応しておりますが、当院では行なっていないため、他院をご紹介いたします。

クアトロテスト®︎実施時期
(妊娠15週0日〜妊娠21週0日)

妊娠15週以降にトリソミーの可能性を計算したい場合に、妊婦さんの採血で行える検査です。
検査で調べるトリソミーは、ダウン症候群(21トリソミー)・18トリソミーです。
トリソミーに加えて開放性二分脊椎と無脳症の可能性も算出されますが、当院では胎児ドックで可能性ではなく形態から診断が可能です。
結果は分数で算出され、その値を基準値と比較して陽性/陰性の判定も併せて返却されます。

トリソミーの可能性を調べる非確定検査の比較

※このテーブルは横にスクロール出来ます。

種類 胎児ドック 胎児ドック+
コンバインドテストPLUS
クアトロテスト® NIPT
(通称、新型出生前検査)
受けられる週数 妊娠12~13週6日
※妊娠14週~は可能性計算ができません
妊娠12~13週6日
※妊娠14週~は可能性計算ができません
妊娠15週0日~21周6日 およそ妊娠11週~
方法 エコー エコー+採血 採血 採血
対象 21・18・13トリソミー+
形態異常
21・18・13トリソミー+
形態異常
21:18トリソミー+
開放性二分脊椎・無脳症
21・18・13トリソミー
※認可外施設ではその他の疾患も対象とすることがあります
結果返却までの期間 当日
※当院の場合
当日
※当院の場合
10日程度 7日程度
精度(21トリソミー) 感度:80%
陰性的中率:算出された値による
感度:97%
陰性的中率:算出された値による
感度:75‐80%
陰性的中率:算出された値による
感度:99%程度
陰性的中率:>99%

※感度:検査でどの程度気付けるか(21トリソミーの感度80%とは、21トリソミーのある児100人のうち80人に気付ける検査という意味)
※陰性的中率:陰性の結果の信用性(21トリソミーの陰性的中率99%とは、陰性の結果であった児100人のうち99人に21トリソミーは認められないという意味)

ダウン症候群

ダウン症候群に対しては、別ページに詳細を記載しています。

ダウン症候群

18トリソミー

18トリソミーは、エドワーズ症候群(Edwards症候群)とも呼ばれる先天性症候群のひとつで、ダウン症候群に次いで多い常染色体数的異常症候群です。
受精しても出産まで至らないことも多く、出産後もほとんどが生後1週間以内に亡くなるとされてきました。近年では、新生児集中治療や外科治療で生命予後は改善しています。低身長や心疾患、手足の短縮など様々な特徴があります。胎児期には、頭蓋骨の形の変化や、妊娠初期の頸部浮腫、発育不全などがあり、妊娠中に診断されることも増えています。
トリソミーとは、特定の染色体が3本あることで起きる症候群のことです。染色体は、父から1本、母から1本の2本セットのことが多いのですが、時々3本になることがあり、そのことをトリソミーと呼びます(トリプルのトリです)。18トリソミーの方は、18番目の染色体全長あるいは一部が3本分あります。

18トリソミーの頻度と性別

生まれてくる赤ちゃんの3500-8500人と言われますが、母体年齢が上がるほど頻度が増えます。それゆえに高年妊娠(35歳以上)の方が心配される傾向にありますが、どの年齢の女性でも18トリソミーのある子を妊娠する可能性があります。また、女の子にやや多く、男女比は1:3です。
自然流産や死産してしまう子も多いため、妊娠12週のとき(妊娠初期)と妊娠40週(出産時)では頻度も3倍ほど異なります。

母体年齢と18トリソミー出産率のグラフ

※このテーブルは横にスクロール出来ます。

母体の年齢 18トリソミー(エドワード症候群)のリスク
(1:n)
周期性嘔吐症候群
(CVS)
  期間
18 2520 3150 9010
19 2515 3145 8985
20 2510 3135 8960
21 2500 3125 8930
22 2490 3110 8885
23 2470 3090 8825
24 2450 3060 8745
25 2415 3020 8630
26 2375 2970 8480
27 2320  2900   8280 
28 2245 2805 8010
29 2145 2680 7660
30 2020 2525 7215
31 1865 2330   6655
32 1675 2095 5990
33 1460 1825 5220
34 1225 1535 4380
35 990 1235 3530
36 765 955 2725
37 565 710 2025
38 410 510 1455
39 290 360 1035
40 205 255 735
41 150 185 530
42 110 140 395
43 87 110 310
44 70 88 250
45 60 74 215
46 52 65 185
47 47 59 170
48 44 55 155
49 41 52 150

References:

  1. Morris JK, Savva GM. The risk of fetal loss following a prenatal diagnosis of trisomy 13 or trisomy 18. Am J Med Genet 2008; 146A:827.
  2. Morris JK, Mutton DE, Alberman E. Revised estimates of the maternal age specific live birth prevalence of Down's syndrome. J Med Screen 2002; 9:2.
  3. Savva GM, Morris JK, Mutton DE, Alberman E. Maternal age-specific fetal loss rates in Down syndrome pregnancies. Prenat Diagn 2006; 26:499.
  4. Savva GM, Walker K, Morris JK. The maternal age-specific live birth prevalence of trisomies 13 and 18 compared to trisomy 21 (Down syndrome). Prenat Diagn 2010; 30:57.

様々な18トリソミー

標準型

18番染色体全長が3本あるとき、「標準型」18トリソミーといいます。18トリソミーの約94%は、卵子形成時の減数分裂のときに起こるこのタイプです。

様々な18トリソミー

標準型

18番染色体全長が3本あるとき、「標準型」18トリソミーといいます。18トリソミーの約94%は、卵子形成時の減数分裂のときに起こるこのタイプです。

部分トリソミー

不均衡転座によって起こる、18番染色体の一部分のトリソミーのことを呼び、18トリソミーの約2%がこのタイプです。どの部分がトリソミーになるかによって症状にはばらつきがあります。

フルトリソミーとモザイク

全身の細胞すべてがトリソミーの場合を「フルトリソミー」と呼び、一部の細胞だけがトリソミーな場合を「モザイク」といいます。18トリソミーのうち約5%が、モザイクです。モザイクの場合、一般にはモザイク率が低いほど症状は少なくなりますが、同じモザイク率でも合併症の有無には幅があるため、モザイク率のみで予後を予測するのは困難です。18トリソミーとわかった場合、モザイク率を調べることも重要ですが、超音波で全身を観察し、症状の有無をみることが重要です。

モザイクのなかで、胎盤胎盤のみにトリソミーを認めるときを「胎盤限局性モザイク」といいます。胎盤限局性モザイクの場合、胎児は正常の染色体をもつため、生まれてきた後にはトリソミーによる症状はありません。NIPTは胎盤を調べる検査のため、NIPT検査陽性というだけでは、胎盤のみが18トリソミーなのか、胎児も18トリソミーなのかは区別できません。胎児ドックで胎児の症状を確認し、全く形態異常がないときには胎盤限局性モザイクや低頻度モザイクを考え、羊水検査や臍帯採血を行います。なお、胎盤限局性モザイクの場合には、胎児に異常がなくても、胎盤機能不全で成長に影響がでたり、妊娠高血圧腎症を発症する可能性があがるため、より慎重な妊娠管理が必要となります。

18トリソミーの特徴

18トリソミーでは、様々な身体的特徴が見られます。18トリソミーの特徴をエコー検査で見つけるのは、妊娠11週から13週の初期が適しています。妊娠初期であれば、首のむくみや心臓の弁の逆流などがみられますが、妊娠14週以降にはそのような特徴が消えていくため、気付きにくくなります。妊娠14週以降は、耳の形や指の本数など、心疾患や口唇口蓋裂などで気づくこともありますが、そのような細かなところまでは妊婦健診では確認しないため、妊娠後半の発育不全がきっかけで気づいたり、生後に気づくことになります。

  • 胎児頸部肥厚(妊娠初期のみ)
  • 鼻骨欠損または低形成(妊娠初期のみ)
  • 三尖弁逆流(妊娠初期のみ)
  • 静脈管逆流(妊娠初期のみ)
  • 胎児期からの成長障がい(子宮内発達遅延:IUGR)
  • 後頭部の突出
  • 耳の変形、耳が低い位置にある
  • 額や背中の多毛
  • あごが小さい
  • 手指が重なる特徴的な握り方
  • 短い胸骨
  • 揺り椅子状の足底
  • 先天性心疾患(心室中隔欠損、心房中隔欠損、動脈管開存などが多いが、大動脈狭窄、両大血管右室起始などの複雑型心疾患もある)
  • 肺高血圧
  • 呼吸器に関する合併症(横隔膜弛緩症、上気道閉塞、無呼吸発作など)
  • 消化器に関する合併症(食道閉鎖、鎖肛、胃食道逆流など)
  • 泌尿器に関する合併症(腎奇形、そけいヘルニアなど)
  • 筋肉や骨格に関する合併症(多指症、合指症、関節の屈曲拘縮、側弯症など)
  • 難聴
  • 悪性腫瘍(ウィルムス腫瘍、肝芽腫)

13トリソミー(パトウ症候群)

13トリソミーは、パトゥ症候群(Patau症候群)とも呼ばれる先天性症候群のひとつです。受精しても出産まで至らないことも多く、出産後もほとんどが生後1週間以内に亡くなるとされてきました。近年では、新生児集中治療や外科治療で生命予後は改善しています。低身長や心疾患、手足の短縮など様々な特徴があります。胎児期には、頭蓋骨の形の変化や、妊娠初期の頸部浮腫、発育不全などがあり、妊娠中に診断されることも増えています。

トリソミーとは、特定の染色体が3本あることで起きる症候群のことです。染色体は、父から1本、母から1本の2本セットのことが多いのですが、時々3本になることがあり、そのことをトリソミーと呼びます。(トリプルのトリです)。13トリソミーの方は、13番目の染色体全長あるいは一部が3本分あります。

13トリソミーの頻度と性別

13トリソミーの頻度は、出生する赤ちゃん16,000〜25,000人に1人です。
予後は、症状の重症度によって大きく異なります。一部の赤ちゃんは、症状が軽度であるため、長期に生存する場合がありますが、一般的には、13トリソミーを持つ赤ちゃんの平均余命は生後数日から1年程度です。

13トリソミーの特徴

13トリソミーのある児には、口唇口蓋裂や心臓病、腎尿路系の異常など、さまざまな身体的特徴がみられます。筋肉骨格系の問題があり子宮内での動きが穏やかなことが一般的です。妊婦健診のなかでは、妊娠後半に、羊水過多や発育不全で気づかれることもあります。13トリソミーの特徴をエコー検査で見つけるのは、妊娠11週から13週の初期が適しています。妊娠初期であれば、胎児頻脈や、首のむくみ、心臓の弁の逆流などがみられますが、妊娠14週以降にはそのような特徴が消えていくため、気付きにくくなります。妊娠14週以降は、指の本数など、心疾患や口唇口蓋裂、単眼球症、全前脳胞症などで気づくこともありますが、そのような細かなところまでは妊婦健診では確認しないため、妊娠後半の発育不全がきっかけで気づいたり、生後に気づくこともあります。

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