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2022.11.15

胎児クリニックが考えるNIPT


胎児クリニックが考えるNIPT

NIPT【Non-Invasive Prenatal genetic Testing】(読み方:エヌアイピーティー)は、新型出生前診断とも呼ばれています。
赤ちゃんの染色体異常について調べる検査ですが、ダウン症の検査と思っている方もいるかもしれません。
いまや多くの妊婦さんが関心をもたれているNIPTですが、みんなが受けているから…といったような理由で検査を受ける前に、最低限知っておくべき大切なポイントをまとめました。

NIPTは何を調べる検査?

NIPTは、ダウン症候群(21トリソミー)・18トリソミー・13トリソミーという3つの染色体を調べる検査です。
施設によっては、全染色体数的異常(全ての染色体の数の変化)や微小欠失(細かな染色体異常)などを対象としていることもありますが、日本医学会の認可施設では上記3つのトリソミーのみを調べます。

ただ、NIPTはあくまで「可能性」がわかる検査であり、100%ダウン症です、とも、100%ダウン症ではありません、とも言えません。

結果は「陰性(可能性が低い)」または「陽性(可能性が高い)」のどちらかで返ってきます。「陰性」の信頼度は99.9%以上のため、100%に近い精度でダウン症ではないことがわかります。一方で、「陽性」の時の信頼度は、年齢や赤ちゃんの様子(むくみ等のトリソミーの特徴があるか)によって、数%〜90%台とばらつきます。陽性=ダウン症候群がある、ということではありません。ダウン症候群があるのか、それとも本当はないのかを調べるには、「確定検査」といわれる検査(絨毛検査や羊水検査など)を行います。

*「NIPTの対象」「NIPTで陽性であったときの確定検査」についてのコラムも作成中です

NIPTってなにするの?

妊婦さんの採血で検査を行います。 赤ちゃんと染色体情報が同じ胎盤の染色体を、妊婦さんの血液を使って調べます。 NIPTと同じく、染色体を調べる検査として羊水検査があります。羊水検査は、調べる範囲については100%の精度ですが、お腹に針を刺すので0.3%程度の流産のリスクがあります。一方でNIPTはそういったリスクもなく、妊婦さんの採血だけで検査が出来るという点はメリットです。

NIPTで陰性だったら、赤ちゃんに病気はない?

赤ちゃんの生まれつきの病気や症候群はたくさんありますが、NIPTでわかる範囲はそのうちの2割弱です。 残りの約8割にあたる、その他の染色体異常・遺伝子異常や、口唇口蓋裂、心臓病といった形の異常(形態異常)は、NIPTではわかりませんが、NIPTは妊婦さんの採血だけで、高い精度でトリソミーを調べることのできる出生前検査です。

当院には、NIPTを受けた後の妊婦さんが「NIPTで見れなかった形を見たい」と来院されます。「年齢が心配」「ダウン症が心配」というだけでなく、「赤ちゃんの健康状態が気になる」ときには、NIPTに加えて、胎児ドックなど赤ちゃんの形をよく見るエコー検査を行うかどうかを考えるとよいでしょう。

ご自身が知りたいと思っている赤ちゃんの情報はNIPTでわかるのか?妊婦健診でわかるのか?いまいちど考えるヒントになればと思います。 また、自分の知りたいことがわからなくなった時には、遺伝カウンセリングで相談してみてください。


この記事を書いたのは

林伸彦

林伸彦

当院では、赤ちゃんの健康を望む気持ちや、妊娠中の不安を理解し、多様な家族背景や価値観を持つ家族に対し、胎児診療を提供します。